昔の「大奥」
2005年 03月 12日
お話は有栖川宮と恋愛関係にあった和宮だが、公武合体のため、最後にはこの計画に反対していた母を幕府側が脅したため、降嫁を承諾するというところ。また徳川家茂の方も、はじめての女性ひな(井上麻衣)に夢中だったのだが、潔癖な和宮が降嫁したら、ひなの存在を許さないだろうというまるで江戸の大奥とは思えない現代的な理由で、大奥女中らがひなを毒殺してしまう。この「大奥」は、お色気シーンが売り物だったので、現在のような激しいシーンはさすがにないが、ひなと家茂の風呂場でのいちゃいちゃ全裸シーンが見所だったようだ。
今はお茶の間TVドラマでの裸を有名女優がすることも珍しくはないが(しかし最近は影をひそめている。一時女優のヘア解禁写真集が発売され、常盤貴子や川島直美やらどんどん脱いでいた時期があった。)、当時はこういう脱ぎ役はにっかつロマンポルノ女優が担当で、この井上麻衣も日活ロマンポルノの女優のようだ。ちなみに、彼女が出ていた「ピンクカット 太く愛して深く愛して」という日活の映画の監督は、メインテーマ、それから、失楽園、キッチン、39、模倣犯、阿修羅のごとく、海猫の森田芳光監督だ。森田監督は83年1月にこのピンク映画を撮り、6月に名作「家族ゲーム」を撮り、世に森田の名を知らしめた。
ポルノ映画を撮っていた監督といえば、「Shall we dance?」で全米でも人気が出た周防正行監督も、はじめは「神田川淫乱戦争」や「変態家族兄貴の嫁さん」を撮っていた。ただし変態家族ではカメラワークや、登場人物の話し方、家族のあり方など、徹底的に小津安二郎にこだわり、ポルノ映画で小津のパロディをやってみたという趣向ぶりをこらしているのが、周防監督らしい。