地球・ふしぎ大自然 「天空のがけをユキヒョウが駆ける」ヒマラヤ・標高5000メートル
2005年 01月 28日
ユキヒョウは全長2m。その半分が尾。この尾を大きく振ることで狩の時岩場で方向転換が出来、軽々走ることが出来る。ユキヒョウは岩場を一気に駆け下りることで、自分の3倍の体重のブルーシープを襲うことが出来る。しかしブルーシープのような大きな動物は半月に一度ほどしか狩は成功しないと言われている。ユキヒョウの体は薄い黄色に黒の斑点があり、通常のヒョウよりも色が淡く岩場に溶け込むことが出来る。ユキヒョウは40平方キロメートルの縄張りを持ち、他のユキヒョウとお互いぶつかり合わないために(餌が少ないのでぶつかり合って喧嘩になることを避けるため。)岩に自分の匂いをこすりつけ、相手に自分がいつそこを通ったのかを知らせている。冬は雪を堀り爪あとで自分の痕跡を残す。
60万年前氷河期が始まるとヒョウは南に逃げたが、その一部がヒマラヤに残って環境に適応した。しかし氷河期が終わると生息地域が少なくなりアジア中央部の標高3000m-6000m地帯に取り残され、ユキヒョウは幻の動物となった。ユキヒョウの毛は長さが12cmと長く36000本が1cm四方に生えており(アフリカのヒョウの倍)、足は太く短い。アフリカのヒョウよりも一回り足が大きく足の裏にも毛があるため雪の上でも沈まず歩ける。足の裏にも毛があり雪の上を歩ける。そして鼻腔は広く広がっているが、これは冷たい空気を鼻で暖めてから肺に送り込むようになっている。
厳しい冬、獲物は少なくなる。ブルーシープは求愛の時期になりオスは1ヶ月間ほど飲まず喰わずでメスを追いかける。そしてオス同士で戦うこともある。普段は用心深いブルーシープだがこの時期は警戒心が薄れるのだが、ユキヒョウにとってはそこが狙い目。番組でもオス同士の喧嘩で足を怪我したブルーシープをユキヒョウがバクッ。なんとも自然は冷酷なまでに合理的だ。余分なものなど何もない。
春、ユキヒョウはそれまでは互いの距離を1週間程あけていたが、3倍の頻度で縄張りを歩き回り匂い付けをする。と、山の上で「あおぉおおーん」とユキヒョウが鳴き出した。その声が山にこだまする。もう一頭のユキヒョウがこの声に答え2頭は交尾する。半年後には赤ん坊が生まれた。ユキヒョウの母は2年近く子どもと過ごし山での生活を教える。
多摩動物園や王子動物園など日本の動物園でも飼育されているが、ヒマラヤの崖を疾走する姿を見てしまうと、十分な餌を与えられているが動物園の作られた狭い崖で生活しているユキヒョウは何を思って日々過ごしているのだろうか、と考えてしまう。他の動物も同様のことが言えるが。現在ユキヒョウの生息数はわずか5000頭。ユキヒョウは体毛が美しいため、また虎の代わりにその骨が漢方薬の材料として珍重され、密漁され続け現在では絶滅の危機に瀕している。ユキヒョウをクリックして保護しようと言うのがこちら。トラ、ジャガー、ユキヒョウのうちどれかを選んで一日一回クリックするボランティア。それが保護資金としてスポンサー企業から寄付される仕組み。(こちらが寄付するわけではなく全くの無料。)他にもシェルターの犬猫たちに一杯のご飯を寄付するクリックはこちら。
ユキヒョウのDVDを見つけた。コニービデオ 「<DVDネイチャーシリーズ 野生の王国> 雪豹 Snow Leopard」DNN-717、岩崎雅典監督、地球環境映像祭最優秀賞受賞作品。ユキヒョウ・ファンのサイトはここ。多摩動物園の雪豹の写真多し。